ジョウの魔法とカズヤの剣

初ミュージカル初主演、2人の座長と脇を固める素敵なカンパニーから作り上げられたあの感動をいつまでも。

仮面劇『風の魔法使い』

 

⚠歌詞セリフはニュアンス

 

「時は遡ること千と数年、数週間。まだこのルトフの里が "ガンドラ" という名で押しも押されぬ大国だったときのお話です。民衆は国を治める王を崇拝し、王もまた人々を愛していた」

 

我らの王ガンドラ

最高の王ガンドラ

慈愛の心に包まれた

皆の希望 ガンドラ王

 

「ガンドラ王、彼こそは‥」

 

「緊張してる?」

「当たり前だ」

「こう手のひらに役の名前を書くんだ。それで飲み込むの」

「ねえ、今日の本番が終わったら2人に付き合ってほしい場所があるの」

「え?どこ?」

「行くまで内緒。3人だけの秘密だからね。‥さあ出番よ。いってらっしゃい、ガンドラ王」

 

「では、おでましだ」

 

民よ民よ 静まれ民よ

民を思えばこそ 生きる喜びを感じ

民をなくしては 国は成り立たぬ

 

そこへ1人の盲目の少女が現れた

 

「無礼者!」

「王の御前であるぞ」

「待て、この者は目が見えぬようだ。大丈夫か?」

「王様、お願いがあります。どうか、どうか私のこの目を見えるようにしては頂けませんか?」

「何!?」

「民を思う王様なら出来ないことはないはずです」

 

「この言葉に王様は酷く動揺した」

 

「お待ちなさい」

 

「この男はこの国でも指折りの魔法使い」

 

人は限られた力しか持たぬもの

私はそれをただ助けるだけの者

目蓋を閉じて 息を整え

シャルレルーレラーピア

シュルラルーレサーリア

 

「まあご苦労様。あら行かなかったの」
「『風の魔法使い』あの話は好きじゃない」
「‥そうね。何か食べるわね、余り物あるけど」
「私持ってくる」
「ああ、あなたはいいよ」
「ありがとう」
「子どもはこの里の調和の印だ」

「そのとおり」

「でも不安なの。自分では想像もつかないことが起こりそうで」

「大丈夫、あんた1人の子どもじゃない。この里全員の子どもになるんだから」

「じゃあリューンの2人とも兄弟ってことね。エルカとも。」

「そうね、よろしく」

「アリーシャ」

「ああ、あなた」

「いってくる」

「いってらっしゃい」

「ああ、ご苦労様です」

「ああ、あんたの弟子ってやつ見なかったか?」

「弟子じゃない」

「あんたは有名な学者だ。ああいうやつが後を絶たない。いつか悪い風を運んできそうな気がする」

「それは別にダイスさんのせいじゃ‥」

「魔法使いはもうこの世に居ない。なのに、なんでそんなものを研究するんだ。」

 

「こうして魔法使いは次々と国民を不幸せを幸せに、不便を便利に、悲しみを喜びに変えていった。」

 

「素敵なものがこの世にはいっぱい。」

「「ありがとう魔法使いさん。ありがとう、そしてありがとう。」」

「何だこの気持ちは。まるで王冠を盗まれたようだ。この気持ち。誰も私を見ていない。群衆よ、王はここだ。ここにいるぞ。この国に平和をもたらすのはこの私だ。」

 

「すまない、心配かけて」

「ごめんなさい」

「あなたが謝ることじゃない。彼は誰よりもこの里のことを考えてくれている。」

「毎晩見張りに立ってくれていること感謝しているの」

「こういう性分だから気にしないで」

 

ガンドラが狂った

「違う、悪いのは私じゃない。悪いのはこの魔法使いだ」

嫉妬の鬼と化した

「そうじゃない。悪いのは、悪いのはお前たちだ」

あんなに慈愛に満ちたお人が

「王よ私の話をお聴きください」

「黙れ、黙れ黙れ黙れ!」

「私の話に耳を‥ガク」

 

「「なんということを」」

 

聞いたことがあるぞ

魔法使いを刺したその剣は

"滅びの剣"と化す

 

「うおおおお‥なんだこれは。剣が勝手に」

 

「見境いなく誰も彼をも殺す。その剣は嫉妬と復讐に塗れた。黒い悪魔で敵も味方も女も子供もそしてすべての魔法使いを根絶やしにした止まることはない滅びの剣」

 

(風の魔法使い登場)

「誰だ?」

「我は風の魔法使い」

 

(戦闘シーン)

 

「愚かな王よ、何故このような真似を」

「「愚かな王よ、何故このような真似を」」

「自分でも分からぬ」

「「ならば、風に問うのだ」」

「何?」

 

シャルラルーレラーピア
シュルラルーレサーリア

シャルラルーレラーピア
シュルラルーレサーリア

 

「滅びの剣は我が呪文により封印された。」

「私は一体これからどうしたらいいのですか?誰も居なくなったこの世で。」

「お前の命を永遠に続くことにしよう。悔恨と後悔と祈りを込めて永遠に生き続けるのだ。それがお前に課せられた罰だ」

「何」

 

剣は花となって消えた

この国に奇跡が起こり

戦は永久に消え去った

 

睫毛の雫が風にさらわれて

未来へ運ばれ 光になるだろう

 

「礼」